刹那に蕩ける虚無主義

Nihilism melting into a moment

京大退学エントリ

本記事はどらくん主催の京都大学アドベントカレンダー2019の12日目の記事です。公開は13日目になってしまいましたが・・・

前の日はらんさんおもろチャレンジでヨーロッパに行ってきたです。

海外で研究したいことを書いて、選ばれたら30万円貰えるという京大の神制度を利用してヨーロッパに行った記録です。情弱・不登校・手続き恐怖によって京大の豊かだったであろう学問のための環境を有効活用できなかった自分はめっちゃルサンチマンを刺激された。写真がきれい。

次の日はぷらすくん電電の実験を効率的に行うためのTips集。まだ読んでません。すみません。

他の登録者、自分は5人くらいしか知らなかったけど界隈では豪華なメンツらしい。ぱっと見情報系の人が多そう。

感想あれば#kuac2019でツイートお願いします!

以下本編。

 

 

0.前書き

今年の9月付で京都大学を退学しました。5年半在籍して69単位取得しました。今は日銭稼いで本読んで遊んでたまに面接受けたりしてぼんやりしています。将来の夢は世界征服です。あとなんらかのイデオローグになりたい。第一歩として26年分の混沌が蓄積された実家を、人がいがみ合わずに暮らせる空間にしようとしている。ここ数年何が起きたのかあんまわかってないし特に振り返る必要を感じてないけど、無理矢理出力した結果として自分の中で一定の整理がつくことと、コンテンツとして消費されることを期待して書きます。

明るい話ではないけど学びも深い出来事で、今はこんな感じに思ってる

し可能な限り勝利的に総括する意気込み。

進路に悩む高校生の参考になり、留年休学に悩む京大生及び世の大学生が読んで楽になる内容になってほしい。

1.概括 

退学に至った理由を抽象的に総括すると、

・与えられたハードルを越えること

・その課題の中で他者に優越すること

・その結果他人から賞賛されること

を餌にして努力してきた人間だったので

・自分のやりたいことをやった方がいい

・罰されないし褒められない

大学に合ってなかった。そして、13歳から18歳までは(狭い視界の中で偶然に)全てがうまくいきすぎていたので、人生がうまくいかないことにも、うまくいかないときに適応して変わることにも、或いは環境を自分で新しく選び取って変えていくことにも慣れてなくて、上手にできなかった。

ということだと思う。

2.具体的原因

以下3点の理由が複雑に絡み合い退学に至りました。

2-1.部活やめられなくて一時的に頭と精神が壊れた

1回生秋に、とある女子体育会部活動と、熊野寮自治会執行部の活動をほぼ同時期に始めたんだけど、

・授業と3つ全部満足いくレベルで成り立たせるのは無理

・寮自治の方が興味があった

という理由で、入部2ヶ月ほどで退部の申し出をした。

が、引き止められて(先輩と同期全員の許可を取れと言われたしそれは無理だった)退部ができず、1シーズン終わるまでの8ヶ月間続けることになり、この期間に

・思考・感情と言動が乖離し

・学問/部活/自治の全方面中途半端で自尊心が地底に墜ちて

おかしくなった。完全に水から上がるのを諦めたネズミになってた。

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部活と寮の会議以外何もできない、ベッドから動けない、動けても人が怖くて部屋から出れない、何も食べない、吐くまで食べる、記憶が飛ぶ、3日風呂に入れない、1ヶ月洗濯できないみたいな感じになってた。2回生春の新歓期に知らない駐車場で通行人に起こされた。寮の屋上で柵乗り越えて座って5階じゃ全然死ねないなと思って2時間ぐらい月見てちょっとだけ泣けたり泣けなかったりして部屋に帰ったりしてた。普通に学校行けなくなって後期の取得単位が10だった(前期は28)。セルフネグレクトと対人恐怖は小康状態を挟みながらだいぶ後(5回生前期くらい)まで引きずったしんどかった。

部の人にも迷惑かけて悪かったな。遅刻して連帯責任で練習後のくそ疲れてる中全員ダッシュさせてしまったりとか。辞めたいくせに変に真面目で、部活行ったら一番声出そうとしてたから、やる気があるのに弱気になってるだけと思われて引きとめさせてしまったのかもしれない。高校の時よりレベル高くてスポーツとして楽しかった。しみんないい人だったし哲学もあった、秋入部で受け入れてあげたら2ヶ月で辞めたいって言い出して扱いづらかったろうに全員優しかった。それだけに辞めたくない気持ちもあった。当時もし全体主義に対する懐疑と、絶対に自衛する覚悟と、ライン全員ブロックして練習に二度と行かない強さとが自分にあればな、と未だにちょっぴり思ってしまうけど。

2-2.内発的にも外発的にも登校する動機がなかった

 内発

一般教養は楽しかったけど専門の理学療法学に意外と興味が持てなかった。でも調子悪くなって学校行けなくなったのとどっちが先なのかはわかんない。ウロボロス

今唐突に思い出したけど1回生のとき、当時付き合ってた(高校の同級生で遠距離恋愛だった)子と電話してて、「入学前とか進路選択前に理学療法の本1冊でも読んだことある?」って聞かれて、読んだことなかったからめちゃ恥ずかしくなった記憶ある。宗教とか哲学の本は読んでたのにね。

理学療法学も、当時

・部活のOBの先輩が柔道整復で痛いところを直すのが魔法みたいでスポーツ科学に興味を持った

・人間健康科学科のHPに「医は人を愛する技術です」的なことが書いてあってこれやん!!!ってなった

・健康が幸福であるための必要条件だと思った

等の理由で積極的に選択したつもりでいたけど、その実「資格取れたら出産後にも復職しやすいな~」という取らぬ狸の皮算用な保険の気持ちがかなり働いていた気がする。こすい計算とか恐怖にドライブされた選択、ろくな結果にならん。部活にしても今までやったことしかできないよ~うわ~ん!みたいな強迫的な気持ちで始めた面あるし。

 外発

行っても褒められないし行かなくても怒られなかったから行かなくなった。高校までの勉強とお受験は罰(朝叩き起こされる、遅刻すると指導される)と報酬(先生と友達が一目置いてくれる、偏差値が出て優越感得られてうれしい)でやってたんだなあ、と思う。先生にもあんま興味持たれないしクラスがコミュニティとして希薄で衝撃だった(専門のクラスの人みんないい子で好きだったけど部活頑張ってた人が多かったので)。中高の6年間を一学年160人全員顔と名前がわかりますみたいな環境で過ごしてたので過去との落差があった。寮の人間関係は濃密で、自治がんばったら尊敬してる先輩たちめっちゃ褒めてくれたし同期と仲良くなれたし寮との落差も激しかった。

2-3.転学部手続きに失敗した

 1回目

4回秋(遅い)に初めて転学部*1の資格照会*2をした。

3つまで出せたので文学部と教育学部と総合人間学部に出したら資格は全部あったので迷った末に、発達障害の研究をしてる先生の授業を見に行って総合人間学部に出願することに決めた。

手続きゴミ苦手だから本出願の締め切り間違えた。人健の教務に出しに行ったら締切日の翌日だった。土下座するくらいの低姿勢でお願いしたけど糞味噌に馬鹿にされてすごすご帰ってきた。めちゃくちゃ意地悪な関西弁のおばさんがいるんですよ。「けどお姉ちゃんな~、普通に考えてみ~?入試とかでも日にち間違えたらそんなん通らへんやろぉ~???」ド正論。でもそんな見下して気持ちよくなんなくってもいいじゃん。めちゃくちゃ不幸になれクソババア。

 2回目

諦められなくて1年待ってまた出そうとしてた。ら、5回生の9月末からウイルス性胃腸炎で2週間(1週間は40℃、続く1週間は38.5℃)の熱が出た。液体しか取れなくて頭が痛くて叫んでて転学部どころじゃなかった(2週間で6kg減った)。多分この怪しい大人が企画した滋賀のバーベキューで食べた鹿肉に中ったんだと思う。暗くて焼けてるのかよく見えなかったしお腹壊したこと人生でほぼなかったから超油断してた。でも9人連れてった友達が誰も中らなくて本当によかった。みんな変わった獣の肉食うときは気をつけてね。で、体調ましなときに教務に電話でもすればよかったんだろうけど本当にそれどころじゃなかった。し、あのおばちゃんはどうせ何を言っても聞いてくれないよ〜という絶望感もあったかもしれない。

そして熱が下がったとき、「私はこの大学に対して、熱が出たら電話もできないくらいの熱意と執着しか持ってないんだな。退学するしかないな。」と思った。

手続きが苦手すぎて退学も時間かかりましたがなんとか今年の9月いっぱいで退学しました。1回生の時のチューターの先生と5回生の時のチューターの先生が対応してくれましたが超々優しかった。スキ。

3.獲得物

意気込み通り勝利的に総括していくぅ!

3-1.優しくなった

 圧倒的に人の痛みとか弱さに寄り添えるようになった。元々善を為したい人間だったから基本人には親切ではあった。例えば中高で言ったら不登校の子には積極的に話しかけてたけど、それは極端には

・(優秀で明るい)自分がそっちの立場になることは絶対にない

・不幸を自ら選択している人たちの気持ちマジでわかんない

くらいの強者論・自己責任論に無意識に立脚した上での優しさだったと思う。いや露悪的過ぎるか。管理教育から逸脱するような人と話すの普通に刺激的で楽しかったというのもあったかな。

とにかく今は、人によって足を取られるものは違うし、いつでも誰でも転びうるし、外から見てどんなに浅い穴でも全然這い上がれないこともあるって思う。そしてこれはとても大きい収穫だと思う。何も失敗しないで自分は最強なんだって思ったままで生きていかなくてよかった、と思える。酸っぱいブドウでしょ、って言われたらそらそうかもしれんけどもう酸っぱくても苦くても何でもいいです。強い昔の自分も弱くなった今の自分も好きです。

3-2.人生に対する認識が緩くなった

一番酷いときは、高学歴パワーカップル残業なし世帯年収1千万20代結婚2人出産、的な、世間知らずエリートが描いた餅、的な未来予想図を抱いてたけどそういうの一切なくなりました。まずそれ自分たちさえよければの超絶浅はかな願望だしな。世界が全体幸福にならないうちは個人の幸福は有り得ないby宮沢賢治。ガンガン技術革新して人類全体の倫理観を陶冶して国家解体して金の概念をなくそう。革命しかない。

という壮大な理想はあるけどとりあえず生きてればいいかなと思ってます、一旦。何なら死んじゃってもいい。みんな死ぬし。まだ解脱に至ってないから多分来世あるし。1秒ごとに変わる人格のその時々で面白いと思えることを楽しんで、好きな人達の手助けして、時々自分の理想のために何かして、疲れたりビビったり元気なくなったらひたすら休んで人に甘えて、って繰り返していきたい。

3-3.趣味と見識が広がった

学校に行ってない間、元気があるときは興味持てることを一生懸命やってました。人生への恐怖から目を逸らす延命措置として。慢性的に調子が悪くて有言不実行しまくって周りに大迷惑かけてたけど(当該で読んでくれてる人がいたら心からのごめんねとありがとう。あなたとかあなたとかあなただよ)。

ダンス、ドラム、演劇、観劇、議論、イベント企画、映画、料理、人間関係、政治運動とかいろいろ齧れてよかった。大好きな友達と美しい思い出いっぱいできたし。特に某新左翼の友人たちとか外山恒一さんのおかげで社会の見通しがよくなったのは良かったかもしれないですね。教養強化合宿超おすすめです。次回は3月かな?暇な人は是非行ってください。

 4.悩める人へ

半分以上自分に言い聞かせて書いた

4-1.進路に迷う人へ

 効率とか年収とかじゃなくてやってて興奮することとか楽しいことを選んで!たのむ!そしてみんなが好きなことやってても、なんなら何もしなくても誰も死なない、困窮しない世界一緒につくろ!

4-2.足踏みに悩む人へ

留年とか休学とかニートとかで悩んでる人へ。人と比べるのやめよ。ゲーム性違うから。どんだけ頑張っても上見たら一生上いるよ。レッドオーシャンで争うのやめて、ローカルにミニマムにオリジナルの幸せを拾い集めてカスタマイズしていこ。向いてなかったら辞めたり変えたりしよ。大体の場所、本当に戻りたければ戻れる(私だってもし京大に戻りたかったら再受験したらいい)。なんもしたくなかったらなんもしないで寝ていよう。やる気を溜めといて、このまま日本が順調に狂っていったら内戦とか起きるからその時に起きてがんばったら超脳汁が出そう。

4-3.死ぬほど苦しい人へ

 だから生きるのとか適当でいいし苦しまなくていいんだよ、と言いたいけど、人それぞれ規定の分量は苦しまないと終わんない(変わんない)んだろうなとも思う。私が苦しんだり動けなかったりしたのは誰かに何か強制されたからでも馬鹿にされたからでもなかった。偏った認識を拭い去るのにきっと痛みと時間とが必要だった。かつて自分の物差しで勝手に他人を自分よりも下位に置いて、内心ほくそ笑みながら悦に浸ったその優越感が、心をぐちゃぐちゃに切り裂く劣等感の刃の一つ一つになってわたしのところへ帰ってきた。

かといって今痛い人、あなたが痛いのは全然あなたのせいとかではないと思う。意味とかもないかもしれない。後から良かったと思えることもひとつもないかもしれない。

けど自分でどうにもできないと思っても時間がまじで何とかしてくれるよ。それか他人が結構何とかしてくれる時もある(責任持てんけど)。

苦しくて仕方なかったら死ぬのもアリだけど波の底で人生終わったらサンクコストが勿体ない感ある。また上がるから多分。

うーんマジで苦しいときにこんなこと言われたらふざけんな殺すぞって思いそう。喉元過ぎて熱さ忘れてるのかな。痛みに寄り添えるようになったとかさっきほざいたが。

とりあえず話だけは無限に聞くのでDM下さい。

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あんまいいこと言えなかったのでしんどくなる思い込み外すのに役に立つかもしれないやつ貼っておきます。思い出したら増やす。

ホームをレスしても自分のままで生きていこうとするお兄さんのツイッター(今は人に家貰ったから家持ってる)。1回生の病んでる時に会ったんだけど私が変なイキり方してて不快にさせてしまったことがある。ブログめっちゃ面白い大好き。不倫肯定論にもすごい影響受けたおすすめ。

職業奢られ屋さんのツイッター。シンプルな切り口が人によっては引っかかるというかムカつくかもしれないけど、常識を緩めたい人は見て下さい。

 

13歳からの世界征服

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イスラーム学者の中田考先生の本。単純だからこれ読んで世界征服って言い始めました。"バカが自分をバカじゃないと思うところから不幸は始まる"←ほんまそれな。エッセンス体得しかけてるし欲しい人いたらあげるよ。

https://tensei.nanaki.biz//

名無き仙人のHP。スピ系。だけどわかりやすいし押し付けがましくないし、株とか転職のコツとか、人生の小技的なものも載ってる。から、スピリチュアルに縁がない人とかアレルギー持ちの人でも比較的見やすいと思う。ツイッターもやってるよ。

5.後書き

・日にち通りに上げられませんでした。主催者のどらくん、次の日のぷらすくんごめんなさい。*3

・膨らみすぎたので頑張って削りました。大学生活振り返ってたら寮愛語りたくなった。

・夜中に自遊空間で書いたんだけど動作ゴミすぎて苛ついた。

・勝利的に総括すると言って書き始めたら暗いのか明るいのかよくわかんない記事になって変な顔してる。

・良い機会でした。ありがとうございました。特に参加するきっかけとなるツイートをしてくれたくにみちくんに感謝。

*1:途中から他の学部に移ること。2回生か3回生として編入する。詳細はhttps://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/students.htmlを参照のこと。

あと昨年の熊野寮パンフに転学部のすすめを寄稿してるのでよければ読んでください。

*2:大体は、入試の点数が、当該学部の自分の入学年度の合格最低点に届いていたら転学部の出願資格がありますよーというもの。学部によって微妙に条件が違う。各学部HPを参照のこと。

*3:さん付けより君付けの方がかわいい名前だと思って君付けにしただけで他意はない。こだわりはある。